こんにちは

奈良から京都へ向かう途中、
ふらりと伏見に立ち寄りました。
歴史の教科書で、幾度となく見かけた地名。
そして、酒飲みなら誰しも伏見の酒を思い出すでしょう。

平日の午前中。
しかも記録的猛暑日。
人影はまばらで、
一人旅のおじさんには、むしろ好都合だった
――はずだった。💦
だが、暑さというやつは、静かに、そして容赦ない!
ジワジワと体がやられてくる。
ヘロヘロです。
気を取り直して酒蔵を回ってみたものの、
足取りは砂袋をぶら下げたよう。
![]()

冷房の効いた店に逃げ込み、利き酒を試す事にした。
「せっかくだから」などと自分に言い訳をしながら。
しかし、味が来ない。
舌に、何も届かない。
体力がないと、美酒もただの水のよう。
![]()
ここは、よし、潔くと引くべきだ。 撤退~!
私は酒蔵の町を後にし、
京都の宿にチェックインして、静かに眠ることにした。

夕方、目を覚ましたら
脳は澄み、体は軽く、まるで別人のよう!
大復活です。
![]()
あの午前の、伏見で溶けかかった私は、もういない。
向かった先は、東本願寺の横にある「リド飲食街」
複数の飲み屋が肩を寄せ合い、
昭和で時間が止まったような一角です。


入り口の串揚げ屋「赤星」に腰を下ろす。
狭いカウンターだけの店です。
串揚げを数本と、瓶ビールの赤星を注文。
どうも客は全員、関西人らしい。
大阪とも違う、あの柔らかい京都弁が、妙に心地よい。
ちょうどビールが一本、半分ほど空になったあたりで、
店は俄かにざわつきはじめ、人が増えてきたので、
もうこの辺が引き際なのだろうと、
グラスの残りを一息にあおり、席を立った。

店を出ると、運よくタクシーが止まっていたので。
もうこれは運命だと、身をゆだねるように乗り込み、
裏京極の「たつみ」へ向かう。
京都に来たらかなず一度は立ち様るお気に入りの店。
案の定、カウンターには馴染みの顔がちらほら。
軽く挨拶を交わし、冷酒を二本ほど。

落ち着くなあ~
飽きたら一言二言、カウンター越しの友人を
冷やかしたりして
終始、楽しく過ごしました。
![]()
たつみは、京都で一番「気楽」に入れる店です。

翌日は、ゆっくりと目を覚ましました。
窓の外はもう昼の光で、なんとなく罪悪感
![]()
遅めの朝食は
清水の老舗「奥丹」で湯豆腐をいただくことにしました。

昨夜の酒でくたびれた胃には、この白くて熱い優しさが、何よりありがたい。

庭園は隅々まで手入れが行き届き、
遅めの朝食を頂きながら、
私は少しだけ上等な人間になった気分
![]()

酒もほどよく抜けたので
河原町に店を構える、知人の靴屋へ向かいました。
彼はシューケアを生業にしており、
昔はとあるセレクトショップでバイブリーコートを売っていた御仁だ。。

店に入るなり、彼の視線は私の靴へ落ちました。
長旅に疲れ切った、くたびれた靴。
なんかカッコ悪いな~
彼はニコニコと手早く磨きいてくれました。
ありがたいことです。
メンズファッションを生業としている私にとって、
靴の手入れを怠るのは、
料理人が鍋を汚したままにしておくようなもので。
恥ずかしくて、身が小さくなるような心境でしたが
お陰様で
靴は見事に蘇り、私も胸を張って京都の街を歩けるようになりました。
やはり、人間は足元からですね。
Diana Ross
What A Difference A Day Makes
さて、お盆です。
そろそろ東京に戻らなければ!

最近は便利なもので、スマホのアプリで新幹線の座席が指定できる。
切符売り場で長蛇の列に並ぶ必要もない。
あとはもう、帰るだけだ。
夏の京都は、背中に貼りつくような湿気とともに、
しばらく私の中に残るでしょう、、、、
バイブリーコート


